はなこさん

e0056237_1294153.jpg長い長い連休が終わった。家族で遠出することもなく、ほぼ普通に過ごした。
でも、書いたり描いたりしなければならなかったものは、ほとんどはかどらなかった。家にいても、なかなか自由に時間を使えないのが休日。

お休み最後の日曜、妹と4歳の甥っ子と一緒に井の頭公園に出かけた。
小雨で寒かったけれど、何より楽しみにしていたボートに乗って、甥っ子はごきげん。
人影まばらな動物園も、内緒で入り込んだようにひっそりした温室も、落ち着いてよかった。濡れて濃くなった空気の中で、木のいい匂いがしていた。
だが、この日いちばんの思い出は、はな子さん。そう、昭和22年生まれのアジアゾウのはな子さん。
閉園間際にゾウ舎に寄ると、若い飼育係の方が、はな子に触ってみますか?という。
柵の間からちょっと触らせてもらえるのかな?と思ったら・・・なんと、檻の中にどうぞと招いて下さった。
大きな鉄格子の中に入ると、もうそこははな子さんの足もとである。長い鼻と大きな大きなからだがすぐ横にある。
はな子さんは私たちをそっとかいだ。鼻の先の内側は薄桃色で、鼻の穴はちゃんと二つあった。
「匂いでたしかめているので、かがせてあげてくださいね」
見上げると、目が私を見た。人のように知恵のある目だった。年取った象だが、老いた目ではないと思った。
今年59歳のはなこさんのあたまは、頭がい骨のかたちがよくわかる。
足も鼻も、しわがたくさん刻まれて、毛がまばらに生えていて、触れるとかたくて温かかった。
細かく切った干し草が積んである。もう歯が1本しかないから、きっとゆっくりゆっくり食べるのだろう。
人が少ない時は、閉園間近に時々こういう機会を作るのだという。
象にさわれるなんて、なんて幸せだろう! こんなに大きい素晴らしい生きものに!
たぶん、甥っ子より興奮していたオバであった。。。
そう、いつかお台場でマンモスを見た時よりずっと。

はな子さん、まだまだ元気で長生きしておくれ。
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Commented by haruikuyoshi at 2006-05-09 22:38
井の頭公園のはなこさんはずいぶんご長寿なんですね。
井の頭公園には子供を連れて良く行くんですが一度も入ったことがありませんでした。うちの子供はさわる勇気がないと思いますが一度行って見たいと思います。
ボートには良く乗ります。
売店で”コメハゼ?”を買ってから船に乗って鳥に餌付けしてます。
Commented by rikakokoro at 2006-05-10 23:08
そうです。ずいぶんご年配ですね。
きっと、いつも入れてくれるわけではないのでしょうけど、
空いている時の閉園間際にもしかしたらチャンスが・・・。

井の頭の池には鯉ばっかりじゃなく、以前行った時には鯉に混ざってたくさんのナマズが、最近はカメがエサをもらいに集まって来ます。。。
あ、そういえばカモメみたいのがたくさん来て、空中キャッチでエサをもらってたこともありました!
なかなかすごい池です。
Commented by くるぶし at 2006-05-13 02:53 x
だいぶ羨ましいです。いいな。
Commented by rikakokoro at 2006-05-13 11:06
でしょ。もうご高齢だから、あまりチャンスはないだろうなあ・・・。
by rikakokoro | 2006-05-09 02:04 | あそぶ | Comments(4)

長井理佳。童話作家で作詞家。仕事歴は以下のプロフィールのページにあります。


by RIkaNagai
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