あめおばけが運んでくれたもの

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あめおばけ、というお話を、もう13,4年前に書いた。絵は梅田千鶴さん。ひかりのくにの月刊絵本として出していただいたものだ。
雨の日におかいものにでかけた女の子が、森の中で、あめおばけに出会って、「あめのひのサラダ、おばけふう」を作ってもらうお話。
にじいろのはるさめサラダの絵を、梅田さんが実においしそうに描いてくださった。

先日、この絵本がどこかで手に入らないかというお問い合わせのメールをいただいた。
6歳のお嬢さんをご病気で亡くされたお父様からで、そのお嬢さんがこの絵本を好きで、何度も病院の移動図書館で借りていたということだった。
もともと幼稚園で定期購読する月刊絵本なので、書店では扱っておらず、また、もう発刊から何年も経ってしまい、出版社にも在庫はない。
でも幸いうちの本棚に残っていたのが数冊あったので、古いもので恐縮しつつ、お送りさせていただいた。
深い悲しみの中、なんとか娘さんの思い出をとお問い合わせをくださった親御さんの気持ち、そして、私の拙いお話を好きになってくださった、可愛らしいお名前の小さいお嬢さんの気持ち。
どちらも本当に切なく、そしてありがたく、手を合わせて受け止めた。
こんなお父さんお母さんのもとに生まれて、きっと幸せなお子さんだったことだろう。

同時に、子どもが読むものを創る仕事をすることの責任をかみしめた。
その作品と、どこで誰が、どんな出会い方をするかわからない。
また、最近人にも言われたことだが、たとえ、自分にとってはるか過去に書いた作品であっても、初めて手にする人にとってはそれが最初の出会いなのだ。

そのことにもう一度気づかせてくださったお嬢さんと、そのご家族に心から感謝の気持ちを捧げます。
初心に返って、心してこの仕事をしていこうと思います。
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Commented by ひかる at 2011-11-19 12:38 x
 今は中学生の者です。
私は幼いころ読んだ絵本を探していました。
題名も覚えていなくて、ぼんやりと浮かぶのは、
虹色の春雨、女の子。
 単語で探してゆき、此処にたどり着きました。
私が探していたのはあめおばけ、この絵本です。
幼いころ先生に読んでもらい好きでした。
 この絵本を書いてくださってありがとうございました。
それと長々と失礼しました。
私が言いたかったのはそれだけです。
さようなら
Commented by rikakokoro at 2011-11-19 23:51
ひかるさん、こんにちは! この度は書き込みを本当にありがとうございます。あめおばけは、93年に初版、98年に再版になっていますが、本屋さんに流通している本ではないので、そんな中で出会い、覚えていて下さるのは本当に有難いことです。今でも時々、あめおばけを探して問い合わせを下さる方がいて、しみじみ感謝の気持ちでいっぱいになります。もう私の手元にも数冊しかなく、図書館にもまずない絵本だと思いますが、幼い思い出の中に生きていてくれて、本当に嬉しいです。こちらこそ、ありがとうございます。どうぞ健やかに、お元気で!
Commented by 春雨サラダお化け風 at 2013-05-06 03:32 x
この絵本、子供の頃本当に大好きでした。
姪っ子や甥っ子ができて、ぜひこの本をプレゼントしたいと思い探していたのですが、手に入れることはできなそうですね。
とても残念です。

私もまた読みたいなぁ
Commented by rikakokoro at 2013-05-06 09:34
春雨サラダお化け風さん、メッセージをありがとうございます。
あめおばけ、さしあげられなくてごめんなさい。思い出して下さる方がこんなに多いとは、書いた当時は思いもしないことでした。とてもうれしいです。
新緑のあとは雨の季節が来ますね。あめおばけもどこかにかくれて思い出の再会を待っているかもしれません。姪っ子さん、甥っ子さんの健やかなご成長をお祈りいたします。
Commented by りこ at 2014-05-21 19:55 x
小さいころ『あめおばけ』が大好きでした。雨が降るとあめおばけに会えないかと外に出かけていたのを思い出します。
大好きな絵本を書いてくれてありがとうございます。
Commented by rikakokoro at 2014-05-22 23:18
りこさん、コメントありがとうございます! 本当に嬉しいです。
書いた時からもうずいぶん長い年月が経ちましたが、作者の想像を越えて、長いこと憶えていただいていることにびっくりするとともに、本当に励みになっています。この仕事をしていて良かった!と今更ながら思います。これから20年経った時に、憶えていて頂ける作品をまた書けるように頑張ろうと思います。
by rikakokoro | 2007-09-01 14:21 | ココロの栞 | Comments(6)

長井理佳。童話作家で作詞家。仕事歴は以下のプロフィールのページにあります。


by RIkaNagai
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