小金井公園から温泉まで

夫といっしょに行こうと思っているイベントがいくつかメモしてある。
あるいは机の前のボードに、展覧会のフライヤーが留めてあったり。
月日は飛ぶように過ぎていくので、
うっかり逃してしまわないように、見えるところに貼っておくのは大事だ。
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「こんどこの展覧会に行きたい」。提案はだいたい私から。
「いいよ、行こう」
 たいてい、その場でお互い手帳を広げ、スケジュールを調整する。
今回は、「高畑勲がつくるちひろ展 ようこそ!ちひろの絵のなかへ」と「奈良美智がつくる 茂田井武展 夢の旅人」。同時開催中!

これだけ見ても十分満足できるはずであった。
だが、おたがい自由業ではあるけれど、めったに休みが一致しない夫婦。「せっかくだから、ついでにここも!」という欲張りさんになってきているこのごろのわたくし。
幸い、この日は朝から出かけられそうだ。ついつい、その「せっかくだから」を使って、
小金井公園内の「江戸東京たてもの園」→「ちひろ美術館」
という計画を立て、さらにもう一つ「せっかくだから」を使って、
「江戸東京たてもの園」→「ちひろ美術館」→「久松湯」
っていうのはどうだろう? と提案。夫、やや半笑いの微笑み。
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おべんとう持って、東小金井駅から歩いて、江戸東京たてもの園へ。歩くの楽し。
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一番惹かれたのは、昭和17年に建てられた前川國男邸。今はなき阿佐ヶ谷住宅の、テラスハウス型住宅を設計した方である。
表札も、大谷石のアプローチもほぼそのまま移築されている。
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書斎もシンプルですてきだ。

写真は撮らなかったけれど、堀口捨己氏の設計した「小出邸」も好き。
大正の終わりの、ちょっと洋風モダンを取り入れた日本家屋で、こんな家に住みたい!と思わせる。

祖父母が建てた今のわたしの家も、建てた当時そのまんまだったら近いところはあったと思うけれど、今はさまざまに改築し、増築し、塗ったり載せたり打ち付けたりして、元の姿はだいぶ失われてしまった。
その時々、住む人の考えや選択で、その時のベストだったに違いないが、この年齢になってやっとわかってきたことがある。
きちんと建てられた建築は、正しく手入れを続ければ古びながらも魅力的であり続ける。
その家の根本のポリシーを替えずにできる改築のやり方もあるはずだ。
でも、自分の生活となれば、人は新しいものが好き。それは否定できない。

そんないい家を見た後では、三井家の当主の邸宅などは、有田焼の絵皿にどーんとステーキがのってでてきたみたいな、消化できない胃もたれ感みたいな、そんな気分になってしまって、早々に退散…。
やっぱり、暮らしが感じられる家が好き。
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園内でおべんとうを食べ、スマホで検索。ちひろ美術館に3時半に着くためには…。
「バスを使えば10分早いって。」「10分しか違わないなら、歩こうか。」
歩くのが好きな二人だとこうなる…。
で、結局着いたのは4時ごろ。観覧は5時まで!
着いて少しすると、夫が言う。
「カフェでお茶もしたかったんでしょ。先に寄る?」
というわけで、ラストオーダー15分前、4時15分に美術館内のカフェでお茶!
予定を外さない二人。
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ちひろさんの絵は、いつもながら本当に良かった。一人の人格をもった小さな人がそこにいる。
私はある程度大人になるまでちひろさんの絵にとくに関心がなかった。子どものころは、絵本や童話の中に、当たり前に目にしていたと思う。
高畑さんセレクトのこのコーナーは撮影OK。
こうして絵が拡大されていると、タッチまで詳細に分かって感動する。拡大されても失われない力があるからだと思う(この「拡大した絵を見る」という体験は、後日、とある絵本の校正で思いがけず役立った)。
ちひろさんの夏の海の絵の前で、母の実家があった館山の海で育った子どものころと、母親になり独りになってから、小さかった自分の子どもたちを引き連れて海にいったときの思い出にひたった。

そして、奈良美智さん構成の、茂田井武さんの展示がまたとても良かった。茂田井さんの絵をこんなにたくさん見たのは初めて。日記のように、独り言のように、詩を書くように絵を描いていた人なのだな。絵を描ける人がほんとうに羨ましいと思った。
奈良さんの言葉がところどころにあり、それも良い。
「今見て、古く見える絵と、
新しく見える絵がある。
見せるための絵じゃない、というのは
力量が読者側にあるか、
自分との対話であるかーーーということだ。」
この一文を、この日の糧とする。
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そして、またもや学んだこと。
「せっかくだから、と、つめこみすぎない」!
ちひろ美術館がはじめの目的だったのよね、そもそも。じっくり見るのにあと1時間欲しかった。。。
たてもの園も、最後は駆け足になってしまったし。
貧乏性? ま、そんなところも、オットットということで。
ちなみに、いつもオットットなのはわたしの方で、オットはわたしよりしっかりしているので、たまにしかオットットではない。
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締めくくりはこちら。練馬区桜台にある銭湯「久松湯」。ちひろ美術館よりバスと電車で約40分。
天然温泉でありながら、一般の銭湯と同じ460円で利用でき、源泉を使った露天風呂もある。
創業は昭和31年だけど、平成25年に掘削したら本当に温泉が出て「天然温泉 久松湯」となったらしい。
2015年、公共用の建築・施設部門でグッドデザイン賞を受賞しているそう。

銭湯好きな夫婦。
だが実は……。
二人ともカラスの行水。フロント(今どき、番台というものはない)でお金払ってから出るまでに、どんなに長くても30分!
長風呂とか信じられない。のぼせちゃう。
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いくらカラスでも、出たら日が暮れてました。
ここまでくると、お風呂上がりに電車で家まで帰らなくちゃならないのが、ちょっとね。
次は車で来よう、と、周辺のパーキングもしっかり調査。

家に帰って、ビール飲んで、オットットなおさんぽ、終了〜。
次はいつかな。きっとまた「せっかくだから…」になるんだろな。




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Commented by LICCA at 2017-08-26 00:46 x
おさんぽ、というより おとなのえんそく♪いいですね~~
読んでいても わくわく楽しい気持ちになります。
よくばりさんなスケジュールも、おふたりご一緒ならでは、なのですね♪
次回のレポ(?)も、楽しみです~。
by rikakokoro | 2017-08-23 18:55 | オットとおさんぽオットット | Comments(1)

長井理佳。童話作家で作詞家。仕事歴は以下のプロフィールのページにあります。


by RIkaNagai
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