オットとおさんぽ

あれが見たい、あそこにいってみたい。
いろいろ思いつくけど、ぱっと行動せずにいるうちに時機を逃す。
そういう自分はもうやめようと思った。というか、逃してる時間はない!と思うようになった。気づいたらそういうお年頃なのだ。
かと言って、いつでもどこにでも行かれるというわけではないが、せっかく一昨年、人生の伴侶を得たことだし!二人でできるだけいろいろなところへ出かけておきたい。
幸い、「◯◯にいきたいな」とつぶやくと、「行こう。いつにする?」と、さっと手帳を取り出す夫である。
夫のスケジュールはけっこう目いっぱいなので、早めに決めておかねばならない。
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5月のある日。この日の午後は松屋銀座へ「シンプルの正体」ディック・ブルーナのデザイン展に行くことがきまっていた。
私は言った。「ほかにあと二つ、行きたいところがあるんだけど…」
「いいよ、行こう。どこ?」
「ターシャさんの映画と、月のはなれ」。
この日は夫の仕事の都合で、家を出るのは午後3時ごろになる。タイトな時間内で動かなければならない。
こういう時、私一人だったら、まず、予定をこなせない…。地理感覚がない上に、地図が読めない。スマホに案内してもらっても間違える。時間の読みもつい適当になり、「間に合わないな〜〜。また今度でいいや」となるのが関の山。そして、その「また今度」があったためしがない…。
しかし、今までさんざん時間を無駄にしてきた私には、今や時間を無駄にする時間はないのだ!
幸い、夫は日ごろから時間をじょうずに使う人。キリギリスタイプのわたしとは大ちがい。まさに私のスマホ代わりとなって(あっ、ごめん!)、ナビゲーターをサクサクこなしてくれる。

まずはじめはブルーナ展。いざ、松屋銀座の8階へ!
と思ったら、7階でおもしろそうな展示販売をやっていた。からくり創作研究会、という方々の新作発表会で、箱根、小田原を本拠地に、幾重ものしかけでやっとあけることのできる秘密の箱を作っている職人集団だ。
苦労してようやくあけると、消しゴム入れるのがやっとぐらいのスペースしかなかったり。でもこの大いなるムダみたいな手間と、秘密のちっちゃいスキマがなんとも良い!
あまりおもしろくてあれこれいじっているうちに、うっかり時間を忘れ、ギリギリ5分前に入場するはめに(しかも最終日)。
なんやかやで、似たもの夫婦。
ブルーナさんのかっこいいグラフィックデザインを時間いっぱい堪能し、グッズ売り場でミニ便箋を手に入れたあとは、角川シネマ有楽町へ。
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お月さまが見ていてくれた。
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最晩年を追ったドキュメンタリー「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」。
前にやはり松屋銀座でターシャ展を見ていたけど、動いて喋るターシャさんはさらに魅力的だった。
あの庭も暮らしも素敵だけど、ターシャさんの魅力はやっぱり「人」だ。好きなことに手を抜かない生き方。くよくよせず、ものごとのいい面を探して生きる性質。人を楽しませるのが好きな、愛のある人柄。
映画の中でターシャさんは言った。「不幸になっている暇なんてないのよ」。
その通りです。まさに今気がついているんです。念を押してくれてありがとう、ターシャさん。
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夜の銀座。一人だったらぜったいに迷ってる。でもわたしにはナビがある! 生きてるナビが!(笑)
彼はスマホどころかガラパゴス以前の太古のガラケーしか持ってない。私の役目は検索だけ。検索なら得意だぞ。
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長い階段をのぼって、5階まで。
ずっと来たかった、月のはなれへ。
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でもエレベーターなしの5階は、楽器持って上がるの、大変だろな…。
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モヒートはミントがぜいたくに。葉っぱは全部食べました。
いいね、音楽とお酒と、空がちょっと見える場所。

ディック・ブルーナに、ターシャ・テューダー、そして月のはなれ。
あ、間にからくり宝箱も!

この日私はひそかに決めた。これを、「オットとおさんぽオットット」と名付けよう。

そして、ときに計画をつめこみ過ぎながらも、おさんぽオットットはときどき実行されている。




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Commented by LICCA at 2017-07-07 23:37 x
うーん、素敵!感動!
最初「オットとおさんぽ」って、絵本か歌詞の題名かと・・w
そしたら、妖怪アトマワシ と 持病ギリギリギリーを抱えている私に ハッ!とさせられる トキメく光が・・・!
しかも、
私には とってもタイムリーに光をもらえました。ヨッシャ!
Commented by tobelune at 2017-07-09 16:10
あーーーっ!  月光荘の「月のはなれ」は、私もいつか行きたいと思っていた、憧れの場所でした。
いいなあ、オットさんとオットット・・・。
Commented by rikakokoro at 2017-07-10 21:10
LICCAさん、その妖怪わたしも抱えてます笑。ってか、背中にはりついとる〜〜。
とりあえず、楽しいことはなるべく後回しにしないようにすることにしました(^^;)。
Commented by rikakokoro at 2017-07-10 21:12
とべるねさん、ふふふ・・・。わたしもずーっと憧れていたんですよ。画材屋さんの方には行ったことがありませんが。
ビルの谷間の、半屋上みたいな?小さな素敵な空間でした。似顔絵を描いてくれる人がいるんですよ。
by rikakokoro | 2017-07-06 22:54 | オットとおさんぽオットット | Comments(4)

長井理佳。童話作家で作詞家。仕事歴は以下のプロフィールのページにあります。


by RIkaNagai
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