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ちゃいろと黒ねこ

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ノラのちゃいろはなぜか黒ねこが好きである。最初によく一緒に来ていたのは、ペロちゃん(アルバム・ある日の二人、参照)という、時々ベロをしまい忘れる年寄りのねこ。女の子同士だったと思うが、それはそれは仲よしで、どこか弱々しかったペロちゃんに、ほとんどぴったりと付き添っていた。
あるときから、ペロちゃんは来なくなった。ペロちゃんがいなくなる少し前に、クロちゃんが現れた。クロちゃんもペロちゃんと同じくらい高齢だったと思うが、どこか姐さん風の気高さがあって、ちゃいろは、仲よしというよりお付きの者という感じであった。しかし、ちゃいろは驚くほど面倒見が良くて、クロちゃんが弱り始めると、毎日どこからかねずみをとってきて、クロちゃんにあげていた。
庭でプレゼントするのにはすごく困ったが、多い時は一日に三度もくわえてきて食べさせるのにはびっくりした。ちゃいろは一見あどけない子ねこのような顔をしているのだが、なかなかどうして、生活力と愛にあふれているらしかった。
やがて、クロちゃんにも最期の時が来た。それは、端から見ている人間にも何となくわかったが、クロちゃんは、姿を見せなくなる最後の頃まで、遠くを見ながら悠然とそよ風に吹かれていて、威厳のあるノラだった。
それから2年ほど経つだろうか、ちゃいろはずっと一人で、どことなく寂しそうだった。多分人恋しい(もとい、ねこ恋しい)、世話好きな性格だが、しつこくまとわりつくので煙たがられるタイプ(・・・のような気がする)。
何度かほかの毛色の猫友も連れて来たが、どうも長続きしなかった。
そして最近たまに一緒に来るのが、くろっち。バーテンダーのようなスリムなイケメンである。堂々としていて、うかつにオレに近寄るなよ的な空気をまとっている。
ちゃいろもかなり年は行っていると思うので(もしかしたら、この辺りの昔からのノラがたいていそうであるように、避妊済みかも知れない)色気でおつきあいしているようには見えない。ちょっぴり距離をおきながら、ずっとにゃーにゃー喋りながら近くにいる。
今までもそうだったが、ちゃいろがうるさく鳴きながらやってくるときは、たいてい誰か連れがある。「すみませ〜ん、連れて来ました〜!だれかー!」みたいなうるささで鳴く。そして相方はいつも無口なタイプ。
久しぶりにめぐりあった黒ねこ友達。果たしてちゃいろの気持ちは通じるのか。長い付き合いになれるのか。
ちょっぴり切ない気もちで見守るこのごろ・・・。
Commented by LICCA at 2015-06-30 09:08 x
おぉ♪ちゃいろさん、久々の登場ですね~♪
連続ドラマを見ているみたい!
イケメンくろっちとの写真がこれまた、
番組宣伝用のポスターみたいで、素敵です~♪
今後の展開がとっても気になります。。。

いつもお庭にたくさんの物語☆
rikaさんのお庭だからこそ、ですね~
Commented by rikakokoro at 2015-06-30 09:26
LICCAさん、ありがとうございます。ちゃいろももう若くないし、いつかお別れが来るのかなと思うと寂しいけど、ノラの人生をしっかり生きている姿を見ると、すごいなあと思うことがたくさんあります。過酷な屋外で生き抜くには、知恵と技と体力とコミュニケーション能力が必要だと思うのですよね。それって人間も同じこと。自分にないものをちゃいろはいっぱいもっているんだなあ・・・と尊敬しています。
Commented by やっぱりSW at 2015-06-30 22:54 x
もしかして若いツバメ?そんな感じでもないか。『深夜食堂』1話の小寿々姐さんとヤクザの竜ちゃんみたいな感じかもね。おしごとお気張りください。
Commented by rikakokoro at 2015-07-01 13:04
SWさん、そうですねえ、若いツバメかも知れん! くろっちの方は一緒に来れば何かいいことあるかも?みたいな感じだと思うけど。
ちゃいろは今朝はひとりで来てました。ノラの世界は自由で孤独。
by rikakokoro | 2015-06-29 21:26 | Home | Comments(4)

長井理佳。童話作家で作詞家。仕事歴は以下のプロフィールのページにあります。


by RIkaNagai
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